養育費や面会交流についてのご案内

離婚を考える際に,夫婦間に未成年の子がいる場合には,子どもの親権者を誰に決めるか,養育費はどのくらいになるのか,子どもにはどのくらいの頻度で会えるのか等を考えなければなりません。

親権者が誰になるか

親権とは,未成年者の子どもを監護・養育し,その財産を管理し,その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことをいいます。
親権の中には,身上監護権といわれる親が子どもを監護し教育する権利義務が含まれていますが,親権者が子どもを監護できない事情がある場合には,親権者でない片方が監護権者となることもありますが,原則は親権者が子どもを養育することが一般的です。

協議によって,離婚後の親権者を定めることができれば問題ありませんが,争いになった場合にはどうなるでしょうか。

離婚の際に,協議で決まらなければ,協議離婚ができませんので,調停・訴訟に移行することになります。
そうすると,法的手続において,親権者を定めることになりますが,親権者は子どもの利益を中心に考えられます。

考慮要素

  • ・子どもを監護養育しているのはどちらか
  • ・子どもの意向はどうか
  • ・両親の身体状態・精神状態はどうか
  • ・子どもの監護を補助してくれるものが身近にいるか
  • ・兄弟姉妹と分かれることにならないか
  • ・経済力はどうか

親権の争いになった際に,母親が有利と言われていましたが,それはあくまで子どもを監護養育しているのが母親の場合が多く,現在の環境の変化を少なくするための配慮がなされた結果といえます。
したがって,共働きが多くなり,子の年齢次第では,監護養育を双方が同じ程度みている場合もあるでしょうし,母親が必ずしも親権者となるわけではありません。
あくまで子どもの福祉の観点から考えることになります。
経済力を重視されるのか質問されることがありますが,考慮要素にはなりますが,養育費がある以上はそれほど重視されることではないことに注意しなければなりません。

養育費

養育費とは,未成年の子が生活するための費用のことをいいます。
離婚後は,親権者でない方(監護養育していない方)の親に対して,請求することになりますが,その金額は「養育費算定表」で決めることが一般的です。
>> 養育費算定表 PDF(193KB)
この養育費算定表に照らして,検討することになりますが,たとえば,兄弟で別々の親権者とする合意をした場合等,算定表ではなく,きちんと状況に照らしてシミュレーションする必要がありますので,早めに弁護士に相談してください。

また,養育費は支払われなくなることが多いため,協議離婚による場合は特に注意が必要で,公正証書により強制執行認諾文言を入れるなど,支払われなくなるリスクについても一定程度の備えは必要でしょう。

面会交流

離婚後,親権者(監護権者)でない父母の一方が,子どもに面会して時間を過ごしたり,文通により交流したりすることを面会交流といいます。
面会交流は離婚後でなくても,婚姻中でも,別居後会わせてもらえないような場合には,相手方に対して子供に会わせるよう求めるために調停を申し立てることができます。

面会交流の頻度はケースによりますが,実施自体は子どもの利益を優先して決めることになります。
そして,離婚や別居後も面会交流を円滑に行うことは,両親の離婚や別居を経験した子どもにとって利益のあることだとされています。
したがって,虐待事案や子どもが拒否している場合でない限り,原則として面会交流は認められます。

もし相手方が子どもに会わせてくれない場合には,速やかに調停を申し立てるべきでしょう。

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